「ここ?」



「……うん、ありがとう」



「1人で大丈夫?」



「……うん」



「じゃあお大事に」



背中を向けた時、急に吐き気が込み上げてきた。



さっきまでより全然気持ち悪い。



立っているのがしんどい。



思わず地面に崩れると、声がした。



「斉藤さん、しっかり!

……ごめん、でもこれは看病だから」



膝の裏と背中に腕が回され、抱えられてベッドに連れて行かれた。



下ろす時もすごく優しくて戸惑った。



熱なのか動揺なのか、頭がぼーっとする。



「……看病、だよね」



「うん。ごめん、よく見ていなかった俺が悪かった」



そう言いながら冷たいシートをおでこに貼ったり首の後ろに氷嚢を当てたりしてくれた。



マスクしないと移るよ、と言ったら買ってきていたらしいマスクをしてずっと家の中にいた。



マスクしてまでいる所じゃないと思うけど。