「うるさい!もうどうでもいい!
全部、ぶっ壊したい!」
めちゃくちゃにしたい。
人間関係も、この空き教室も、こいつのことも、リサのことも。
近くの椅子を掴みとり、窓に向かって投げる。
これ以上こんな世界にいても、わたしがおかしくなるだけだ。
全部やめたい。
「止めろよ!」
思わずビクッとした。
こんな声、聞いたことがないから。
その隙に椅子を取り上げられ、体を反転させられた。
怒りたいような、泣きたいような、苦しそうな顔だった。
「斉藤さん、もう大丈夫だから。
ひとりで全部抱え込もうとして壊れるくらいなら、話して。
俺全然だめだけど頭は回るから、先生に言ってどうにかしてもらうことも出来る。
親にも言いたくないなら、言わないように言ってあげられるから。
だから、もう強がんなくていい」
……この言葉が欲しかったのかもしれない。
誰も助けてくれなかった。
言いたくなくて、いじめられているなんて惨めで、黙っていた。
「……もういいよ。ありがとう、良くしてくれただけで十分。
授業始まるよ、行かないと」