「ちょっと斉藤さん借ります」
「え、あ、ああ、はい」
わたしの腕を掴んで立たせると、そのまま近くの空き教室に連れて行かれた。
リサと同じことをしているはずなのに、なぜか安心感がある。
不思議なくらいに。
ドアを閉めると、座るように言われた。
ひとつ前の椅子を回してわたしの方に向き直って座った。
「本当のこと、教えて」
「……あんたはどこまで知っているの」
「先生に話したところまで」
「……それ、本当?」
「うん、嘘は吐かないから」
「……誰にも言わない?」
「うん」
「……勘違い、なんだよね。
リサがお前よりどーだこーだってうるさくって。
理由を聞いていたら」
どうしてか、苦しい。
伝えるのが申し訳ないような気がする。
「理由を聞いていたら、……リサはわたしとあんたが一緒にいるのが許せないんだって」