「で、次の休み時間に問い詰めても答えなくて。
それで斉藤さんのいそうな所を見てみたら床に気を失って倒れていたんです。
膝も擦りむけて、ブラウスにも靴の痕がくっきり付いていたんです。
これは、正当防衛とは言えないんじゃないですか?」
どうしてこいつはここまでしてわたしを庇ってくれるんだろう。
どうして優しくしてくれるんだろう。
どうして正しいんだろう。
「……三村さんの言ったことは、どうなるんですか」
「そりゃあ、嘘になるんじゃないですか?
何があったかなんて知らないですけど」
相変わらずの生意気な喋り方なのに、いつもより真っ直ぐに聞こえる。
「……それ、本当ですか?」
「嘘はついていません。
本当のことは斉藤さんが知っています」
「……分かりました。
斉藤さん、本当のことを教えてください」
ペンを持つ手に力を入れてみるけれど、やっぱり動かない。
ここまでやってくれたのに。