黙っているのをいいことに輪をかけて担任は言ってくる。



「黙っている、ということは認めたということですね。

……生徒指導部に回します」



朝の慌ただしさの中、わたしだけが取り残される。



目の前では本当のことなんて書かれない書類が準備されていく。



この書類をひったくればいいのだろうか。



そう思ったら、もうそうせずにはいられなかった。



立ち上がった時、唐突に呑気な声が職員室に響いた。



決して大きな声ではないのに、よく響いた。



「センセー、日誌取りに来ましたー」



「ああ、青木くん、ここにあるから取りに来てください。

ちょっと今手が離せないので」



ゆらゆらと歩いてきてそのまま日誌を取り、帰るのかと思ったら話し始めた。



「センセー、斉藤さんと三村のことですよね」



「……いいから戻りなさい」



「俺、一応関わっているんですよ。

それに見たんです、三村が斉藤さんを呼び出してどこかに連れて行ったのを。

でもなかなか戻ってこないのでなんだろうって気にしていたら三村だけ戻って来て、斉藤さんのことを聞いても歯切れ悪く知らないって答えて」



担任は理解が追いついていないらしい。



そりゃあそうだ。