「斉藤さん、いい加減に髪の毛をどうにかしなさい。
そうやって集団の和を乱すようなことをするあなたにもいじめられる原因はあるんじゃないですか」
髪の毛は今関係ないだろ。
人のあら探しをして何がいいんだろう。
ボーナスにでも結びつくのか。
だったらこいつのボーナスを下げてやる。
「自分のしたことは正直に認めなさい。
斉藤さんが悪いですよ、これは。
三村さんの暴力だって、見方によりますが正当防衛だと思います」
じゃあわたしは何になるのか。
わたしの無抵抗は、どうなんだ。
都合がいいんじゃないか。
そう思っても手はペンを握りしめたまま、固まっている。
どうして肝心な時にわたしの手は、声は、まともに働いてくれないんだろう。
たった少し、動かすだけなのに。
それとも内心ではリサと先生にびびってんの?
「……斉藤さん、デタラメを書こうとするのはだめですよ。
もう話も聞いているんですから」
……もうだめだ。
ここで認めたらわたしは最悪の場合、退学だろうから頑張っていたのに。