既にホームルームは始まっていた。
「斉藤さん、座りなさい」
担任は淡々とわたしに指示しただけだった。
またリサがわたしが悪いようにチクったに違いない。
ここにいる限り、わたしは永遠に悪者にされ、晒し者にされる。
連絡事項は耳に入らないし、そもそも聞く気なんてない。
配布物もわたしを通り越してクラスに回っていく。
わたしの姿に何も言わない担任、配慮の言葉もないクラスの人。
みんな、全部、最悪だ。
最低だ。
1時間目が始まるまで、どこかへ行きたい。
教室にいるとわたしがわたしじゃなくなって、汚れそうになる。
走って走って、屋上の前の階段に来た。
ほとんど無意識だった。
人のいない所なんて、ここしか思い浮かばない。
「斉藤さん、見つけた」
「……あっそ」
「風邪ひくよ」
「いいんじゃない、風邪ひいて」
「髪の毛だって乾ききってない。
またリサにやられたんだろ」
「そう」
「斉藤さん、やり返さないよね」