「今から斉藤さんに罰を与えまーす!」
マナがこの上なく嬉しそうにしている。
「何すんだよー」
「ちょっとお、男子うるさい!」
「せっかくの機会なんだからじっくり楽しもうよ!」
「ぎゃははは、カノン達サイテーだな!」
「何言ってんの、斉藤さんの方がサイテーだから」
「うっかり忘れてたわ!」
「ひっでー!」
男子達の会話はもう無視してスマホをリサは操作している。
動画でも撮るのだろうか。
それこそいじめの証拠になるに違いない。
「出来たー?」
「うん、こっちは出来た。
マナの方はいい?」
「大丈夫!」
「じゃ、いくよー?」
何かが飛んでくる。
水?
他にも布のような物が飛んでくる。
教室の蛍光灯を歪め、叫び声を遠くし、生き物のようにやってくる。
スローモーションの映画のワンシーンのようだった。