ちょっと言い過ぎたかも、と思っていると想像に反していつものように能天気な声が返ってきた。



「じゃあどうして俺には喋ってくれるの?」



窓の外にはオレンジに染まる街と人がある。



わたし達はその影にいる。



「……分からない」



「俺が思うに、斉藤さん、俺のことは信じてくれているんじゃないの?

さっき言ったよね、信じてくれないから喋らないって。

だけど俺には喋ってくれる。

信じているからだよね」



「……そんなところまで分かんないよ、わたしには。

あんたがそう思うんならそれでいいんじゃないの」



窓から僅かに入る光でそいつの髪の毛がオレンジに染まっている。



「ふうん、まあいいか。

そういえば、なんか課題とか貰ったんだろ?」



「反省文と謝罪」



「なんだよそれ」



「わたしもそう思ったから反省文書かないし、謝罪もしない。

謝るのは向こうだってのに」



「強いなー、斉藤さん」



「普通だよ」



「あ、帰るの?俺も帰るわ」



付いて来るなと言おうとしたけれど、喉に引っかかって何となく取り出しづらかった。