「さ、斉藤さん!
何してるんですか!」
振り向くと、先生が呆気に取られていた。
そりゃああんた達にしてみればわたしの考えていることも、どうしてこういう結果になったのかも分かっていないんだろうけど。
でも、こんなに酷い態度を取られるとは思わなかった。
「三村さん!
大丈夫?何があったの?」
ここではわたしより、リサの方が価値が高いのかもしれない。
「……うぅっ……、あ、あたしが今日のお昼ごはんもお金もないって言っただけなのに、なぜか斉藤さんが怒っちゃって……。
たぶんあたしがお金を欲しがっているって思い込んじゃったせいだと思うんですけど……。
でもあたし、確かにお金を誰かに盗られちゃって本当にお金がなくてどうしようかと思っていて……。
呟いたのが聞こえちゃっただけなんですよ」
「そうだったんですね……。
とにかく、斉藤さん!
お金を貸してあげなさい、三村さんのことだからあとでしっかり返してもらえるわ。
三村さんを怖がらせてしまった事への謝罪の意味も兼ねてそれくらいしなさいね」
……何言ってんの、馬鹿じゃないの。
いつもお金を盗られているのはわたしの方なのに。
わたしの意見も聞かずに決めつけるなんて、おかしい。