たぶんリサは先生が近くにいることを分かっているからいじめに見えないいじめをしているんだ。



そのずるさがむかつく。



「えーもしかして斉藤さん、本気で怒ってるー?」



自分が不利な状況にいるということを周りにアピールすることを忘れずにいるあたりの計算高いところもうざい。



「斉藤さん、怖いよお」



「大丈夫だよ、リサ」



「ひどーい、リサを泣かせるなんて!」



なんでわたしが悪く言われなきゃいけないんだよ。



「ひっく……うぅ……、言いたいことがあるなら、言えばいいのに……」



完全に頭に血が上って何も考えられなくなっていた。



だから、自分でも何をしているのかよく分からなかった。



気付いたらパンの袋を全て開けて床にぶちまけていた。



無残に散らばるパンたち。



指の跡がくっきり残っている。



そんなに昼ごはんに困っているなら落としたパンでも食べたらいいでしょ。



そんな意味を込めて睨みつけた。