もう売り切れているかと思ったけれど、まだ思ったよりもパンが残っている。
カレーパンもコッペパンもある。
言われたものを買って階段を上っていると、踊り場にリサ達がいた。
「どうしたのおー、斉藤さん?」
「お買い物かー。ありがとうね!」
きゃはははは、と下品な笑い声が響いて思わずぶち切れそうになる。
何が楽しいんだ。
「あたし達、昼ごはんがなくて困ってたの。
しかも今日お金がなくなっちゃってー、誰かに盗られたみたいなんだよねー」
うええん、と今度は下手な泣き真似を始めた。
マナやカノンは庇う真似までする。
ばっかじゃねえの。
どうしてこんな茶番に付き合わされないといけないんだよ。
こいつら、何がしたいんだよ。
「斉藤さん怖ーい。
だからあたしのお昼ごはんにそれちょうだい」
何言ってんの、こいつ。
「……」
「ええーっ、あたし達友達だよね!
困った時は助け合うんだよねー」