「ボロネーゼを1つください。
斉藤さんどれにするの?」
「あ、じゃあこれで」
「はい、ボロネーゼをお1つとレモン&バジルパスタオリーブソースがけをお1つですね」
愛想のいい店員さんが立ち去ると、笑われた。
「メニューの名前言わないんだ」
「長いから言いづらい」
「あの人すごい感じ良いよな」
「うん」
「前に友達と来た時はいい人だったんだけどギャルみたいな人だったんだよ。
ここインターナショナルな店なのかな」
「そうなんじゃない」
答える気も起きなくて店の中を見回すと、イタリアンの店らしく柑橘類のモチーフやルネサンスを思わせる絵がたくさん飾られていた。
特にブドウが可愛らしい。
ガラス製なのか、透き通っていてすごく幻想的だ。
「あ、飲み物頼まなかったけど飲みたかったら好きに頼んでいいから」
「うん」