午後の授業が終わるといつもはすぐに帰れるけれど、今日は掃除がある。



わたしと同じ曜日の人はわたしに全部押し付けて帰っていく。



いるのに仕事をしないくらいなら帰ってもらった方がいい。



机の間のゴミをほうきで集め、ちりとりに入れ、ゴミ箱に捨てる。



それから黒板を綺麗にして、廊下にモップを掛ける。



ゴミ袋を最後に捨てに行って戻ってきたところで教室に人の姿を見つけた。



「お疲れー、斉藤さん」



「……」



「帰らない?

あ、俺勉強教えて欲しいんだよね。

ほら、見ての通り俺馬鹿だから国語も数学も全然分からない」



何を言っているんだろう。



こいつが成績優秀なことをわたしは知っている。



周りを見ていないとでも思われているのだろうか。



「俺、斉藤さんが見た目によらず優秀なこと知っているんだよね」



だから何だろう。



勉強なんか出来たってしょうがないのに。