「えーとじゃあこれを読んでもらいましょうか。

今日は16日だから、……斉藤さんね」



「センセー、斉藤さん声でないんですよー。

もっと分かってやってくださいよー」



どっと笑いが起こる。



最近はリサ達に便乗して勘違いもいい所の男子まで楽しんでいる。



私立とはいえ、先生を味方に付けてしまえばこの空間ではなんとでもなる。



誰かをいじめても、誰かを陥れても、誰かに暴力を振るっても。



金か媚で解決してしまう。



わたしには金と権力に群がる豚にしか見えない。



「ごめんなさいね、斉藤さん」



その声には自分は生徒に好かれているという安堵が混じっているのがわかる。



わたしがじっと見つめると、不愉快そうな顔になった。



「じゃ、次の松本君、お願い」



急に指名されて動揺しているらしい。



「どうしたの?松本君」



「あー教科書忘れちゃいましたー」



「しょうがないわね、隣の人に見せてもらいなさい」



明らかに対応がわたしと違う。