ただ一緒にいただけで疑うのもどうかしている話か。でも、このまま放っておくのも。暗殺者である俺が言うのもあれだが、王女には亡くなってほしくない。まだまだ王女という生き物が何であるのか知りたいんだ。

「この部屋の扉に中の話が聞こえるよう細工してあるのだが、誰か説明できる者はいるか?」

「私たちを疑っているのか?」

「細工しているわりには傷を最小限に抑えている。王女様は傷を付けるくらいなら外へ出るような方だ。王女様を嫌っている者の犯行であればもっと傷を作るやり方で気付かれない方法がある。だが、残念ながらこの国には俺たち以外、王女様を好いている者はいないんでな」