何か知っているのなら訊いた方が良いんだろうけれど、まだ思惑が分からないからな。思惑も何も知らないで話しかけてヒューが犯人だった時にちゃんと対処できる自信がない。兵士ではないが医者であるがゆえに生体には詳しい。急所を打たれれば俺もただじゃ済まないだろう。
取り合えず礼を言って王女の部屋に戻ったが、ヒューを怪しまずにはいられなかった。出来るだけ平然を装っていたが、パルさんにバレていたかどうか危うい所だろう。なら、自ら先に動いてみるのも手か。

「なぁ、もしこの中に裏切り者がいたらどうする?」

「何だ?ベクウも仲間意識が芽生えてきたのか?」

「まさか!もしもの話だって!」