ずっと辛かったんだよな。幼い頃はいつか無くなってしまう幸せな日常に怯え、大きくなれば無くなってしまった日常に悲しみ。国や種族がある事を恨みさえしただろう。それでも、生きてきたんだよな。辛くてもいつか来る幸せを掴もうと頑張ったんだよな。
皆に頭を撫でられながら、慰められていた。そんなヒューが羨ましいと思えてしまう。だって俺には家族なんていなかったから。
いつからだったかな。気付いた時にはもう、暗殺の仕事で生計を立てていた。大人の言う事なんて信じられない。大人の言う事を信じたから父とあんな別れ方をしてしまったんだってずっと恨んできた。
今となっては何で恨んでいたのか、どうして父が関係しているのかまで分からない。思い出せないほど、年を取ってしまったんだ。
一緒に暮らしていたはずの両親の顔を思い出せないなんて笑えるよな。思い出なんて一つもない。本当に暮らしていたのかも分からない。