と言っても、まだ話しかけてくれた子に言葉を返すくらいしか出来ていないけど、それでも私の中では大きな進歩だった。
「姫乃さん、バイバイ!」
「花ちゃんばいばーい!」
「バイバイっ」
放課後になり、挨拶をしてくれる男の子たちに私も「バイバイ」と手を振る。
今日は、家庭科部が休みの水曜日。
まさくんは部活があるから、週に1度だけ1人で帰っている。
一緒に帰ると言って、まさくんは顧問の先生に水曜日だけ欠席させてもらえるよう頼んだらしい。
もちろんそんなこと許してもらえなかったけど、その話を聞いた時は思わず笑ってしまった。
まさくんは、本当にいつだって私を優先してくれた。
優しくて頼もしくって、自慢の幼なじみだ。
1人で帰るのは寂しいけど、週に1度くらい平気。