いつの間にか…(短編)

龍「おーっす」


げっ…


琴音「龍くんおはよー!」


龍「おぉ、琴音おはよ〜って……あいつなしたん…?」


琴音「私もわかんないの…かえちゃん自身もわかんないって」


龍「どういうことだよそれw」


全部聞こえてるぞ龍くんやい。人が原因不明で落ちてるのに笑うとはなんぞやこのやろ!!



「はぁ〜…なんなのよもう…」


龍「楓まだ頭痛いのか?」


「は…」


頭?……あー…そういや昨日頭痛いから保健室行ってくる!って言ってそのままだったよね…


「そうかも…ね…」


龍「そうかもねって自分のことだろ」



「自分でもわかんないんだよ…」


龍「変なやつ」


「そうだね…」


今はなんか、龍に抵抗する気力すらもないや



龍「琴音、楓まじで壊れたわ」


だからあんたらは私の事精密機械だと思ってんのかよ


━━━━━━放課後


今は琴音がどうしてもって言うからこんなテンションだし家に帰りたかったけど近くのファミレスにいる


琴音「ねぇ、かえちゃん、龍くんのこと好きでしょ」


「ブフォッ」


琴音「わぁぁぁ、かえちゃん!!」


「何を言い出すのかと思ったら、そんなわけないでしょ!」


琴音「あれ〜?違った〜?だってかえちゃんさ、龍くんが昨日告白されたって言われてからおかしいんだよ?」


確かにあの時は謎に動揺しまくったしテンション下がったりほっとしたり忙しかったけど…


琴音「かえちゃんさ、龍くんに告白されたさって言われて、どんな気持ちになった?いつもみたいに言い返してはいたみたいだけど、実際のところどんな気持ちだった?」


「どんな気持ちって言われても……謎にすっごく動揺したし、ドキドキしたし、ガッカリしたし、ほっとしたし……なんか色々忙しかった…けど… 」


琴音「それだよかえちゃん!!」


「え…?」


それだよ…?


「どういうこと…?」

琴音「龍くんに告白されたさって報告を受けて、凄く動揺したり、ドキドキしたり、ガッカリしたり、ほっとしたりするのは龍くんの事が好きだからだよ!」
「いやいや…!待って待って!そんなわけない!!あんなやつのどこがいいって言うのよ!」


琴音「かえちゃん、もっと自分の気持ちに素直になろうよ」


「素直になるも何も…違うし…」


琴音「かえちゃん、恋ってね?相手の事で何かあると、それが告白されたとか彼女できたとかの報告だとね?凄く動揺しちゃうし、付き合うのかな?付き合わないのかな?ってドキドキしちゃくし、不安にもなるの。」


「…………」


琴音「だからね?かえちゃん、その気持ちは、恋なんだよ。絶対。かえちゃんは、龍くんに恋してるんだよ」


「私が…龍に……」


琴音「そう、かえちゃんさ、もし龍くんに彼女が出来たらどうする?」

「どうするって……応援…………」



琴音「できる?好きな人を違う女の子に取られるんだよ?琴音だったら耐えられない。」


龍に彼女が出来たら……耐えられない……彼女なんて作らないで欲しい……



「私、本当に龍のこと好きになっちゃったんだ…」


琴音「おめでとう、かえちゃん!これからは私、応援するね!」


自分の恋には無自覚な琴音のくせに…なんで周りの恋には敏感なのよ…

琴音「よーし!!そうと決まれば作戦だよ!」

「へ…?」


作戦…?


「な、なにをするの…?」


琴音「そんなの決まってる!!かえちゃんが龍くんに告白できるようにする作戦だよ!」


え、は…?


「えぇぇぇぇぇ?!私告白しないよ?!」


琴音「何言ってるの?!いまさっき龍くんに彼女が出来ちゃったらって考えたでしょ!!」


「考えたけど…!考えましたけど!!」


琴音「その時出た答えは?!耐えられないんでしょ?!だったら自分のものにするしかないの!!自分のものになってない以上そこら辺の女子にいつ取られてもおかしくないんだから!!」

うぅ…圧が…
琴音「私ね、龍くんはきっとかえちゃんの事好きだと思うんだよ」


「は?……何言って…」


琴音「だってさ?龍くんいつもかえちゃんにばっかりちょっかいかけてるじゃん」


そうだけど…


「それは昔からの付き合いだからであって…」



琴音「違うよ!!絶対違う!!琴音分かるもん!!龍くんかえちゃんを見る時の目がすごく優しいもん!」


「そんなわけ…」


琴音「あるの!!!!!」


おぉう……怖い…


琴音「とにかく!!ここはズバッと行くよ!!」


「ズバッと…?」



どうするんだろうか…?


琴音「明日、体育館裏に龍くんを呼び出すの!!」


「は?!」


え、いきなり?!


琴音「大丈夫!私もついて行くから!!」


いやいや!そういう問題じゃなくて…!



「いきなり告白は無理だよ!!」


琴音「かえちゃん、当たって砕けろって言葉知らない?」



「いや、知ってるけども…」


琴音「それが今だよ!(どやさっ)」


めちゃくちゃドヤるじゃん…



それに当たって砕けろって事はもう既に振られろって言ってるようなもんじゃん…


琴音「明日ちゃんと言うんだよ!!絶対成功するから!!」


「うん… 」


琴音のあの自信、どこから湧いてるんだろ…

━━━━━次の日


琴音「かえちゃん!今日だよ!頑張ってね!」


「無理だよ〜泣」


琴音「かえちゃん泣かないで!!女でしょ!!」


「女だから泣くんだよ〜泣 無理だよ〜泣」


龍「今日は朝から泣いてんのかお前は、忙しいやつだな」


「…………グスッ……」


龍「え、ちょ、マジ泣き…?」


琴音「龍くん空気読もうよ。」


琴音が珍しく怒ってる…



龍「え、あ、や…その…悪い…」


龍が珍しく謝ってる…


琴音「あ、あと龍くん。」


龍「な、なに」


琴音「学校終わったら体育館裏に来てね。絶対。いい?絶対ね。」


推しが強いな琴音…笑


龍「お、おう、わかった」


怖気付いてんじゃん龍…w

琴音「ニヤニヤしてるけど体育館裏からはあなたのお仕事ですからね?かえちゃん」


「うげ………言えるかな…」


琴音「大丈夫、もしもの時は私が慰めてあげる。バイキング行って、沢山やけ食いしよう」


「うん、ありがたいけどやめておく…太りそう…」


琴音「失恋したあとはやけ食いに限るんだよ!かえちゃん!」


それただ琴音がバイキング行きたいだけなんじゃ…笑


琴音「とにかく、頑張れ!」


「うん…」
━━━━━━放課後



琴音「かえちゃんファイト!」


「あ゛〜…胃が痛くなってきた…」


琴音「大丈夫!かえちゃんならいける!あ、ほら!来たよ!」


そこには龍の姿が


琴音「ほら!かえちゃん!行っておいで!」


「え、あ、ちょ!押さない……で…」


龍「……え」


ですよねー


龍「なに、どした…俺ついにお前にボコられる…?」


ボコる…そうね…本来ならボコるところなんだろうけど…



「り、龍…さ…か、かの、じょ…とか、いる、の?」


か、カミカミだァァァァ



龍「は?…え、いや、いねぇけど」


「す、好きな、ひ、ひひとは?」


お、落ち着け!落ち着け私!!


龍「好きな人……は、いるよ。」


「え…?」


龍「好きな人はいる。ずっとずっと前から好きなやつが。」


琴音……終わったよ……私の初恋…見事に散ってったよ…


「そっ、かぁ…付き合えるといいね…」