第1章 ラッキーな席替え

【side 梨花】

「梨花ー?そろそろ起きないと遅刻するわよー?」
子鳥のさえずりとどこからかお母さんの声が聞こえてくる…。
「ん!?遅刻!?」
焦った声で私は急に起き上がる。
焦っている時でも身だしなみには気をつける方だ。
チェックのネクタイをしっかり結んでいつものように家を出た。
「やばい、新学期早々遅刻するー!!」
そう言いながら全力で走る私。
あぁー、もっと早く起こしてよぉ、お母さん…。
今日は私が高校2年生になる日だ。
1年生の時とは違う時間を過ごせるといいな、なんて思いながら息を切らせて一生懸命はしる。




教室に着いた頃にはもうHRが終わっていた。
はぁ、とため息をついて自分の席に座ると、2年連続で同じクラスの菜乃花が私に近づいてきて呆れたような顔でこう言った。
「梨花は遅刻が好きだねぇ〜(笑)」
「好きで遅刻してるんじゃないから!」
「またまた〜。あの直樹くんの事考えててねむれなかったんじゃないのぉー?」
私は赤面した。
そう、私は1年生の頃から学校のアイドル的存在の直樹くんに片思いをしている。