最初に込み上げたのは、怒り。
人のものを壊して、それを本人に言わずに修理に出す?普通。
でも次に込み上げたのは、まぁしょうがない、という楽観的な考えだった。
我ながら自分の適当さにため息が出るけど、前向きなのは良いことだしね、たぶん。
「そうだったんだ...まあ大丈夫だよ、壊れちゃったのはしょうがないし」
思ったことをそのまま言えば、お母さんはほっとしたように笑った。
.....怒る気持ちがないわけじゃないけれど、誰かと喧嘩するのは物を壊されることより嫌だから。
ちょっとの我慢でみんなが笑えるなら、それが私の本望だ。
「てゆーか今日何しようかな...スマホないんだよね、てことはまず...」
いただきますをして、お味噌汁のお椀を手にとる。
我が家のお味噌汁は大抵いつも赤味噌だ。たまに合わせ味噌。
「真愛に言いに行った方が良いかな、スマホ使えないの」
スマホがないという絶望的な状況の中、真っ先に思い浮かんだのは、大好きで大切な親友の顔だった。