振り返り、薄暗い中じっと目を凝らすと
高岡さんが、窓辺のテーブル席に
座っているのが見えた。


身体を椅子の背もたれに預けて、
生気のない目でぼうっと外を
眺めていた。


まるで魂を抜き取られた人形のようで、
怖かった事を今でも鮮明に憶えている。


生前の母の姿に重なり、高岡さんも
遠くへ行ってしまうのではないか…



「高岡さん」



気づいたらそう呼びかけていた。