「マリーおはよ…」



カフェの扉を開けると同時に看板猫の
白猫マリーが私の足とドアの間を
すり抜けて外へ出て行く。


私の声は届かなかったようで、
一度も振り返らず商店街へと
消えて行った。



「阿部さん、おはよう」



「おはようございます」



「最近マリーが外へ行く事が多くてね。
ボーイフレンドでもできたのかな?」



高岡さんはそう言って微笑みながら、
カウンターでいつものように
私に紅茶を淹れてくれる。