会場のテーブルにあるカクテルの
入ったグラスを一気に飲み干す。


口の中で甘いカシスオレンジの泡が、
あの時の淡い初恋のような痛みと
共に消えてゆく。


ふっとひと息つくと人だかりの中心で、
笑顔を浮かべる御曹司を
憎しみを込めた目で見つめる。



この御曹司は社長の希望の光。



その光を奪うことが1番の
復讐になると確信した。



大切なものを奪われた私と
同じ痛みを味合わせてあげよう。



御曹司は私の事も復讐のターゲットで
あることも知る由もないだろう。



私は片方の口角をそっとあげて
嘲笑うかのようにほくそ笑んだ。