家に帰り借りた傘の水気を落とし
そっと傘立てに入れた。


ビニール傘をこんなに大事に
愛おしく思った自分が
可笑しくて仕方がなかったと同時に、
負の感情しかなかった自分に
この感情が芽生えたことを
とても嬉しく思った。


濡れた身体を労わるように
温かいシャワーをゆっくりと浴びて
優しく身体を拭いてベッドに入った。



目を閉じるとあの映画のワンシーンの
ような光景が瞼の裏で
スローモーションで再生される。



あの人はどんな顔で笑うのだろう。



また会いたいと思った。