ふたりは別れてから、
ずっと会っていなかった。


ただ、高岡さんはお腹の子が女の子で
あることを知っており、
茉莉花と名づけることも決まって
いたらしい。



「初めて出会った時、すぐにわかった。
 若い頃の茉莉子にそっくりだったから。

 名前を見て確信して、雇うか迷った。

 でも、今まで何もしてやれなかった分、
 少しでも側にいて、力になりたいと
 思った。

 父親だということは言わない。

 そう決めて雇うことにしたんだ」



思考が止まり、ただ唖然とする私に
高岡さんは持っていた日記を差し出す。