そこには、純白のウエディングドレスを
着て笑みを浮かべる母と、
タキシードを着た、緊張した面持ちの
高岡さんが写っていた。
「結婚してすぐ、茉莉子が妊娠したと
聞いた時、本当に嬉しかった。
夢を叶えて、ふたりのことを必ず
幸せにすると誓った。
それなのに、僕は幸せにすることが
できなかった。
茉莉子は、茉莉花さんが生まれる前に
僕の元からいなくなってしまった」
眉間に皺を寄せ、苦しそうな表情で
涙は止まることなく、溢れ続けている。
ふと、カフェに忘れ物を取りに行った
母の誕生日の日ことを思い出す。
あの日と同じ目をしていた。