高岡さんは、深々と私にお辞儀をした。
そして、私の後ろにいる刑務官へ
軽く会釈した。
そしてパイプ椅子に座ると、
今にも泣きだしそうな顔で
私にこう言った。
「本当にすまなかった」
座ったまま、深く頭を下げて
なかなか上げようとしない。
まさか、高岡さんが来るとは
思わなかった。
「………頭を上げてください。
謝らなければならないのは、
私のほうです」
私のことを心配してくれた高岡さんに、
酷い態度をとり、店を飛び出して
連絡もしなかった。
そして人を殺し、犯罪者になってしまった。
謝っただけで、許してもらえるとは
思っていない。