警察官が、後部座席のドアを開けようと
した時、マリーは立ち上がった。


私をギロッと睨みつけると、
早足で立ち去った。



そんなマリーの表情に、違和感を覚えた。



マリーに触れようとする度に見た、
あの嫌がる目とは違っていた。


憎悪に近い感情を、ぶつけられた
ような気がした。



今まで何度も触れようとしたからだろう。


そう思ったけれど、なぜか
腑に落ちなかった。



マリーの姿が遠くなるにしたがって、
復習を遂げたという達成感も
消えていった。