冷たい空気で乾燥した目のせいか、
視界がぼんやりとしている。


ほんの数秒目を閉じ、開いてじっと
目を凝らす。



「…マリー!?」



勤務先のカフェの看板猫、マリーだった。


どうしてこんな所にいるのだろう。

カフェから、終点の駅までは
かなり遠いはずだ。


名前を呼ぶと、立ち止まりこちらを向いた。


そして逃げる姿を見て、私を探しに
来たという淡い期待は、すぐに消えた。