電車の中は、夜遅いからか空いていた。 座席に座り、膝の上でバッグを抱えた。 しばらくすると、バッグの底で 着信音が鳴り始めた。 彼のスマホだ。 なかなか鳴り止まず、向かいの左斜めの 座席に座っている2人組の女性が、 こちらを見ている。