彼の両手を組み、離れないように お腹の上で固く握った。 母が死んだ日の記憶が蘇ってくる。 実感が湧かず、夢のようだった あの日と同じだ。 ひとつだけ違うところがある。 "私が"殺した。 その事実に動揺し、彼の体から 瞬時に体を離した。 反動で、真っ赤に染まった壁に 体をぶつけた。 血の匂いがした。