包丁を床にそっと置き、血塗れの右手で
彼の頬を撫でる。


まるで、眠っているかのようだった。


人を殺したと言う罪悪感はなかった。

また目覚めたら…という
恐怖感のほうが強かった。


しかし、彼の温もりは徐々に失われていく。


左手を握り返されることも、
瞼が開くことも二度となかった。