彼は微動だにせず、虚な目で刃を見つめた。


「父の責任は、僕が取る」


「あなたの命ひとつで、責任は取れない。
 お母さんと、復讐の心を持たない
 綺麗な私は、もう二度と戻ってこない」


そう泣き叫び、彼のお腹を思い切り刺した。


白い壁に血飛沫が飛ぶ。
薔薇の花びらのようだった。


「………一瞬でも、僕のことを
 愛したことがあった……?」


額に、冷や汗をかいた顔を歪ませ
私に問う。