20時45分。
待ち合わせの時間よりも、早めに着いた。
食事の場所は、私が指定した。
万咲と春乃が会っていた、あの喫茶店だ。
彼は、窓際の席に座りメニューを
眺めていた。
「こんばんは」
「…こんばんは。お疲れ様」
私が席に着くと、彼がおしぼりを
渡してくれた。
「傷の具合はどうですか?まだ痛む?」
「だいぶ良くなってきました」
「よかった。あれから、不審な男に
後をつけられたりしていませんか?」
「いえ…特には、あまり外にも
出歩いていないので、心配しないで
ください」
「もし、何かあった時は、いつでも
連絡してくださいね」
「ありがとうございます」
そう笑顔で伝えると、彼は少し安心した
様子で、お冷やを一口飲んだ。