彼は細く節がしっかりとした指で、
手際よく腕に包帯を巻いた。

口元の傷に、消毒液を湿らせた
脱脂綿が触れると、身体がびくっと
反応した。


「ごめんね…染みたよね」

「…大丈夫です」


心配そうに、私の顔を覗き込む彼と
視線がぶつかった。


遠くで鳴る雷が、時々彼の顔を
青白く照らす。

その瞳は、熱を帯びていた。


彼の顔が、ゆっくりと近づいてくる。

前髪から流れ落ちた雫が、伏せられた
瞼、睫毛を伝い流れてゆく。

雫が流れ落ちる前に、唇が重なった。