ふと、お店の入口に置いてある受骨が
折れたビニール傘が目に留まる。
この前のデートの時、急に雨が降って
きてしまい彼に借りた傘だ。
普通のビニール傘だが、私と彼を
繋いだ大切なものだ。
今朝、出勤途中に暴風雨で壊れて
しまったのだ。
正直、落ち込んでしまった。
大切なものだからという理由もあるが、
一番は自分とこの傘を重ねてしまって
いたからだ。
不幸な事が起こり、まだ傷も癒えない心に
追い討ちをかけるように
再び不幸が訪れる。
小さな幸せに心躍らせればお前には
幸せは似合わないと不幸がまた
迎えにやってくる。
雨が降り、傘が濡れる。
まだ乾いてない小間に容赦なく
雨は叩きつける。
やっと訪れた晴れ間に乾けば、
太陽は裏切り大粒の雨を降らせ
また濡れてしまう。
強風にも耐えられずすぐ壊れてしまう。
今のぐらついた心に、何か追い討ちを
かける事が起これば、きっと私は
潰れてしまうだろう。
私は青空の下で誰かを守る日傘には
なれないのだ。