「本当に申し訳ないですが…
よろしくお願いします」
「いえ…、気になさらないでください。
閉店まであと少しですし…」
「ありがとうございます。
それでは行ってきます」
「いってらっしゃい」
高岡さんは学生時代の友人が
久し振りに近くに来たようで
会いに出かけて行った。
一人で店番をするのは初めての
ことだけれど、閉店まであと1時間を
切っているし、今夜は雨風が強く
もうお客さんは来ないだろう。
7月の半分が過ぎようとしているが
まだ梅雨が明ける気配はない。
時々訪れる晴れ間と雨の不安定な
この時期は、まるで揺れ動く
私の心のようだ。