毎回、デートの終わりはいつもこうだ。
そして決まって時刻は23時41分。
私を優しい表情で見つめてくるのに
"好き"や"愛してる"の言葉は
一度も言ってはくれなかった。
今日は私の誕生日だ。
もしかしたら…と期待してしまって
いる自分がいた。
彼を復讐のため利用している
たかが恋愛ごっこにそこまで
熱を上げている自分が気持ち悪かった。
しかし、家に入り玄関の扉を閉めると
座り込み、扉にもたれかかり
考えてしまう。
どうして好きと言ってくれないのか?
本当は私のことを好きでは
ないのだろうか?
私は都合の良い女で、他に本命の相手が
いるのだろうか?
だから、日付が変わる前に相手に
怪しまれないように帰るのだろうか?
胸がズキっと痛んだ。
なぜか悲しい気持ちになった。
彼と出会ってから目まぐるしく
感情を変える私の心は制御不能だった。
遠くで救急車のサイレンが聴こえる。
私の壊れた心も一緒に連れて行って
治療してはくれないだろうか?