いつもつまらない光景。
飽きた日常生活。
そこから脱するために、僕は父さんに頼み込んだ。
昔から興味があった人間の世界へ行かせてくれ、と。
僕は月黄泉。今でいう、神様というものだ。
神の目線でありとあらゆるものを見つめ、自分の中で「学習」してきた。
だが、また別のものを見るのもいいかもしれない。
人間の世界へ行くために、いくつか条件を出された。
それは、3つの条件。
1、人間を装い…決して自ら神ということをばらすな。
2、「管理者」という神の姿が見える人間が日本に3人存在する。その「管理者」は、神の秘密を約束し人間から守ってくれる。その「管理者」全員と合流しろ。
3、人間に恋をしてはいけない。
この3つを必ず守るなら、と父さんは納得した。
「はーい、皆席に着いて!新しいクラスメイトを紹介するわ」
人間の匂いが漂う教室に入ると、クラスにいた全員がざわついた。
「篠山 悠衣くんよ。自己紹介してもらえる?」
「今日からお世話になります、篠山悠衣といいます。わからないことばかりですが、皆さん仲良くして下さると嬉しいです。どうぞ宜しくお願いします。」
パチパチ…。
クラス全員からの拍手に、僕は少し息をつく。
人間って、一体どんな生き物なんだろうか。
男、女と性別は分かれている。
姉妹や兄弟だからといって、同じようなところはないはず。
これからが楽しみだ。
休み時間、僕の席の周りには多くの人間が集まってきた。
「篠山くんってどこから来たの!?」
「やっば!超イケメン!!」
「カッコいい~!!ちょっと、麻衣子!次の彼氏にしちゃえば?」
「なあ、篠山!次の休み時間は俺が学校案内してやるよ!」
「ずるいよ柳田!僕も案内するし!」
「彼女いるの!?うちのクラスで一番可愛い子って誰だと思う~!?」
ま、こんなもんか。
色んな人に作り笑いで質問には答えずいると、窓際に座っていた女子生徒が立ち上がったのが見えた。