そんな美樹が、
桜都の問いに答えてくれたことが嬉しかった。

「どんな人なの?」

「う〜ん、、ピアノがすっごい上手?」

美樹はそう言って、少し照れていた。

けれどそんな美樹とは反対に、
桜都は切ない気持ちになった。

それは、“ピアノ”というキーワードが、
桜都のいつの日かの淡い初恋の思い出を
蘇らせたからだった。