「そこ座ってね。」

そう言われた時雨は言われるがまま、
指差されたその、ロココ調で
ふわふわとしたソファーに腰かけた。

美樹の母はキッチンから紅茶とお菓子を
持ってきてテーブルに置き、
時雨の正面のソファーに座った。

「美樹、眠ったたでしょ。
あの子ここ最近、ずっとあぁなの。」

いきなりの話で時雨はびっくりした。
けれどまた耳を傾けた。

「最初はただの、思春期によくある眠気なのかなと思ったの。でもやっぱり病気のこともあるから心配でね、、。」

時雨は黙って頷きながら聞いていた。

「まあとにかく、美樹、
時雨くんにすっごく会いたがっていたの。
だからこれからは、また前みたいに
時々でもいいから会ってくれると嬉しいな。」

そう言って美樹の母は微笑んだ。
その顔は、美樹が微笑んだ顔そっくりだった。