そんなことで話が進んで、
中学受験に集中するために、
これが最後のピアノコンクールとなった。

これが終わったら毎日、
美樹がいる間はピアノを弾いて、
美樹が帰ったら勉強をする生活になる。

そんな生活を想像した時雨は、
少しだけ寂しい気持ちになった。

幼い頃からずっと
ピアノとは離れたことはなかった時雨は、
今更になって名残惜しさが込み上げてきた。

それでも時雨の意思は揺らがなかった。