次の日ー。
 ゆうの店ー。
 序盤から、ゆうの客が、高級シャンパンを入れた。
 面白くないのは、セナ一派。
 ゆうは、客に、耳打ちした。
 「セナさんに、同じもの一本飲んでもらっていい?」
「いいけど…。」
「けど…?」
「炭酸抜かないこと。
セナさんだけが飲むこと。
この二つが条件ね。
破ったら、破った奴も同じ目に合わせるから。」
「分かった。
じゃあ、それでいこう。」
 客は、マイクで伝えた。
 セナの顔は、真っ青…。
 セナ一派も、真っ青…。
 それでも、姫の命令…。
 聞かないわけにいかず、セナは、一本飲むことに…。
 一本飲み終わると、姫は、不満足そうに言った。
 「今、湊くん、助けたよね?」
 湊は、首を横に振った。
 「いいえ!!
そんなことは…。」
「じゃあ、私が、嘘ついてるってこと?!」
「いっ…いいえっっ!!」
「じゃあ、湊くんとセナさんに、一本ずつ!
同じものを!!」
「ありがとう!!」
 ホスト達は、大盛り上がり。
 セナと湊は、顔が青ざめていた。
 ゆうは、客の耳元で囁いた。
 「ありがとう。」
「いいのよ。
気にしなくて。
だって、ゆうくんをいじめようとしてるんでしょ?
許せないわ!!」
 客も、ゆうの耳元で囁いた。
 そうこうしてると、シャンパンが、出てきた。
 湊とセナは、一本ずつ、炭酸を抜かずに、飲んだ。
 客は、満足し、帰っていった。
 ゆうは、見送りに出た。
 「今日は、ありがとう。」
「ううん。
明日も来るから。
セナさん、潰しに。
「ゆうを敵に回したら、怖いんだぞっ!」って、教えてあげなきゃね。」
 客はそう言って笑って、帰って行った。
 この日、ゆうの客は、こぞってシャンパンを入れ、セナに飲ませた。
 営業が終わる頃、店の中は、ゆうの客でいっぱいだった。
 そのせいで、セナは、潰れて、店の裏で吐いていた。
 「(こ…、この俺様が…、じ…自分の客すら呼べれねぇ…。)
(いや、呼ばせてもらえねぇなんて…。)
(冗談じゃねぇぞ…。)」
 セナは、横にある壁を、拳で叩いた。
 そして、店が終わると、完全に、記憶を失うほどに、酔わされていた。