「ご、ごめん。その、そうなの。それでその、えっと……」

しどろもどろになって目が泳いでしまう。
ヤバイ、これは引かれたかもしれない。
せっかくいいムードだったのに、私が台無しにしてしまった。何だか鼻の奥がつんとしてくる。

「俺に触られるの嫌?」

「ううん」

私は首を横に振った。
そこは全力で否定だ。

「キス、していい?」

「うん」

瞬くんは私の頬を包むようにして、甘いキスをしてくる。深くなるたび、私はそれに応えようと瞬くんの服をぎゅっと掴んだ。
瞬くんの長くて綺麗な指が、私の首筋や耳に優しく触れていく。
その度にゾクゾクと震えるような感覚になった。

「んんっ!」

「結衣、可愛い」

漏れ出た声に瞬くんが甘く反応する。

「そんなに俺を煽らないで」

「煽ってなんか、ひゃぁっ」

今度こそ組み敷かれて、私は瞬くんから見下ろされる形になった。
重なっている手が熱い。

「初めてなんだ?」

その言葉に、ゆっくりと頷く。
と同時に、謝罪の言葉が口をつい出た。

「うん。ごめん」

申し訳ない気持ちでいっぱいになり、目頭が熱くなる。なのに瞬くんは私の頬を優しく撫でながら、そっと目尻を親指でなぞった。

「嬉しい」

低く甘い声で囁かれてゾクリとする。
何が嬉しいかわからずに黙っていると、瞬くんは柔らかく微笑んだ。

「俺が初めて結衣に触れるんだ?優しくするつもりだけど、歯止めがきかなくなったらごめん」

「えっええっ?!」

唇だけじゃない。
頬、瞼、額、首、たくさんたくさんキスが降ってきて私はくすぐったくて身じろぐ。
私は必死なのに、そんな反応さえ瞬くんは楽しんでいるようだ。

「結衣、本当に可愛いしすごく綺麗だよ」

甘い言葉と甘い手つきにもう何も考えられなくなって、今度こそ私は瞬くんに身を任せた。

「瞬くん……」

「痛かったらちゃんと言うんだよ」

「うん」

吐息すらも甘く優しく、時間の流れなんてまったく感じられないくらいに、どこか別の世界へ飛んでいったのではないかと錯覚した。