「二人とも格好いいね」

未菜ちゃんが恥ずかしげもなく言うものだから、逆に私が恥ずかしくなる。

「フォーマルスーツだから、かっこよさいつもより三割り増しだよ?」

光司くんが調子よく言う。
でも確かに。
二人とも背が高くてスラッとしていてスーツがよく似合っている。特に瞬くんは優しそうに笑う雰囲気がなんとも素敵だ。

「私たちも三割り増しかな?」

未菜ちゃんがスカートの裾をヒラヒラさせながら私に問う。
職場では毎日キャラクターもののエプロン姿の私たちも、今日は綺麗なパーティードレスに髪も美容院でセットしてもらった。
子供達と泥んこになって遊んでいるいつもの姿とは全然違う。

「……だといいなぁ」

ぼそりと呟くと、瞬くんと目があった。

「とても綺麗だよ」

そう甘く微笑まれて、私は頬に熱が集まるのを感じた。
お世辞だってわかってはいるけど、男性からそんなことを言われるのは初めてかもしれない。

「やだっ!ありがとう!」

私の代わりに未菜ちゃんが笑いながらお礼を言う。
私は、この熱を帯びた頬が厚く塗ったファンデーションで誤魔化せているといいなと思った。