それからリチャードの即位が無事に終わり、城に戻れば仕事が山積み。



「おかえりなさいませ、陛下」

「あぁ、変わりはないか?」

「えぇ、なにも」



側妃たちに挨拶をされる。



宰相がとびきりの美人を連れて来たり、小国のわがまま姫を引き取ったり。



自分から妻に迎えたのは、猫のハーフ獣人。



ノエルという名の、か弱そうで終始怯えているような、そんな見た目の女。



「キャシー、すまないが、今日はノエルの元へ行く」

「わかりました。ゆっくりして来てください。ものすごーく、嫌ですけど」

「俺が触れるのはお前だけだと、何度言えばわかるのだ…」

「そんなの信用ならないもの。口でなら何とでも言えるわ。でも、ノエルさんは嫌いになれないのよね…だけど、ヤダもん‼︎」

「素直でよろしい。すまないな、ノエルにはハーフとしての仕事をしてもらわねばならないのだ」



王が通っているのはハーフ獣人の所だと。



可愛がられ、大事にされる存在だと。



そう民に知らしめるのだ。