魔法の効果が切れれば、リュークもまた船酔いの始まりだ。



「これ、毒よりキツイ…」

「はははっ、そうなのか?」

「父上…乗り物酔いの耐性が…今すぐ欲しいです…」



アンドリュー様の側妃は3人いる。



ひとりは宰相が連れてきた貴族の娘で、もうひとりはマリアンヌ様に似ている小国のお姫様。



それと、最後の一人はアンドリュー様が自ら選んだハーフ獣人。



私以外の妃に子どもはいない。



お飾りのような側妃だと言っていたけれど。



夜にお泊まりになることはほとんどなく、私以外と子どもは作れないのだとアンドリュー様が言っていた。



『繊細な男の事情だ…』と悲しそうに言っていたので、意味がわからずデイジーにその話をしたら返事は即答だった。



『キャシー以外には反応しないってことでしょ』

『なにが…?』

『下半身が、よ』



そう言われて赤面したのを思い出す…。



とにかく、私は愛されているらしい。



「グレース、あまりそちらへ行くと海に落ちてしまうぞ」

「大丈夫です、お父様。いざとなればジェードが助けてくれるもの」

「…………置いてくればよかったな」



溺愛している娘は、現在ジェードに小さな恋をしているのです。