【アンドリュー】



ここまで奥手だとは思ってなかった親友の背中を押した。



「どうしよ、喉カラカラ…」

「エスコートなんてお手の物ではないのか?」

「いやいや、相当久しぶりなんだよ?パーティーなんかは『仕事がある』のを理由にかなり断ってたし…」

「何を言っている、ジェラルド侯爵家の息子が」

「あぁぁぁぁぁ…。リーナ、絶対緊張してるだろうしなぁ…」

「張り切って着飾っているかもな」



キャシーがな。



モジモジしている我が友と、リーナの待つ待機部屋へ向かった。



リーナは『ドレスなんか持ってませんっ‼︎』と慌てふためいていたようで、同伴者のアレンから贈らせるようにしたのもキャシー。



ノックをすると、いつもとは逆でキャシーがドアを開けた。



「わぁ‼︎騎士じゃない服装もステキですね、アレン様‼︎」

「お褒めに預かり光栄です」

「ふふふっ、もう準備はできてますよ」



大きく開いた扉の先には、黄色いドレスのリーナが恥ずかしそうに立っていた。